この最終選抜に残った10人は閉鎖環境という特殊な状況下におかれ、さまざまなストレスや難題を課せられます。そしてその中で、どう考え、選び、語り合い、行動したのかをつぶさに追われます。まさに一挙手一投足を、です。
どんなに苦しい状況下や精神状態であっても決してあきらめず、他人を思いやって、自身の言葉と行動で人を動かす力があるかどうか
人間としてのベーシックだけど非常に重要な部分、そしてその強度をさまざまな角度から試されます。日常/極限状態かわらず発揮されるその人の人間力が時間をかけて見極められていきます。
たとえば、チームに分かれての「心を癒すロボットを作る」という課題。
「レゴ マインドストーム」を使い、ロボットをプログラムしていく中で見られていくのは、工学的な知識や発想力だけでなく、リーダーシップとフォロワーシップ、計画性、意志決定のプロセス、そして人間関係。自分の不得意な分野でも前向きに取り組めるか。自分の能力を全て持ってしてもできない事は、プライドを捨て素直に周りに助けを求められるか。孤立しないか。
それはもう非常にたくさんのことをチェックされます。
こう見てみると、この地球上での日常社会でも必要なことばかりです。はるかかなたの宇宙でも同じなわけです。 ただ、やっぱり宇宙飛行士が働く現場の極限状態は常軌を逸しています。 だからその必要とされる人間力は究極の質を求められるだろうし、測られる深度も相当なものなのでしょう。
閉鎖環境試験の最後。
受験者は審査員にこのような質問をされたそうです。
「自分を含めて一緒に宇宙に行きたい人3人選びなさい」
「一緒に宇宙に行きたくない3人を選びなさい。その理由も述べなさい」
回答がつらい。
しかし回答が辛いのは当たり前。その辛いことを、自分の中でどう処理し伝えるか、その説明の仕方を見ているそうです。
また、面接においては、なぜ宇宙飛行士になりたいと思ったのかではなく、どうして今ここ(面接会場)にいるのかを問われたそうです。
そこに至るまでに自分で下してきた決断とその理由。これらを深く深く掘り下げ、宇宙飛行士としての資質が備えられているかを見ていくのです。
この選抜試験の実際の様子を映しだした「NHKスペシャル 宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」というドキュメンタリ映像が2009年3月8日、NHKで放送されました。この番組は大変な話題を呼び、DVD化や書籍化もされています。
また、少しだけですが、NHKオンデマンドというサイトでお試し視聴もできます。
このほかにも、1995年の募集の際に最終選抜まで残った方の選抜試験体験記などを読むと実際どんなことが行われたのかを垣間見ることができます。
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